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2023.08.21「美と着物」が繋ぐ、真野英子と龍村平藏

「美と着物」を融合させ、広くその普及に尽力した、真野英子氏。氏は生前、龍村平藏の創り上げる織物の世界観に魅せられ、帯、そして着物制作を数多く依頼していました。

この龍村平藏への制作依頼による着物12点をはじめ、他にも龍村平藏が制作した着物の多くを所蔵しているのが、2023年7月にオープンした「真野英子kimonoギャラリー」です。このギャラリーでは、数多くの着物に触れ、創作してきた真野英子氏の功績と美容文化の発展を、着物を通じて感じることのできる「美と着物」が、テーマとなっています。本記事では、真野英子氏と氏が魅せられた龍村平藏の世界観、そして、数々の作品を鑑賞できる「真野英子kimonoギャラリー」についてご紹介致します。

真野英子氏について

美容の普及と発展に生涯を捧げた真野英子氏。海外の美容技術を独自の技術に進化させてきただけでなく、独自の美容技術や表現を海外に紹介し、数多くの着物と融合させてきました。そこには、氏の持つ感性と知識、独創性が大きく関わっており、多くのヘアスタイル、着物制作にも影響を与えたと言われています。

美容家であった真野英子氏の表現の世界を知れば知るほど、氏が美と着物が切り離せない関係であると捉えていた事、そして、着物は日本が世界に誇る文化であると考えていた事が感じられます。

龍村平藏の芸術の世界

日本の織物文化発展に寄与し、芸術とも賞される美術織物創作の道を拓いた、龍村平藏。帯の芸術表現者としての面をフォーカスされる事も多いですが、その織りや表現技法は、着物の制作にも活かされています。

真野英子氏は龍村平藏の世界観に魅せられ、帯、そして着物制作を依頼します。完成した12点の着物には、その技術や技法が十二分に落とし込まれており、龍村平藏の新たな一面が引き出された作品、とも言えます。

「真野英子kimonoギャラリー」の見どころ

数多くの着物の制作依頼や収集をしてきたことでも知られている真野英子氏。ギャラリーでは、龍村平藏コレクションとして、氏の制作依頼によるものを中心に、丸帯や打掛などを多数保有・展示されています。

【初代・龍村平藏の同名の丸帯を範とした打掛「国宝・日暮文蒔絵錦」】

【紗地に妙趣ある色彩を施し創意を加えた振袖「オヴェールの叢(くさむら)」】

【紗地に燃えるような風韻を多彩な彩糸で華美に織りなした振袖「ヴィテブスクの華」】

これらをはじめとする斬新な作品の数々を、間近でご覧頂けます。

龍村美術織物代表取締役社長・龍村育は、今回の「真野英子kimonoギャラリー」のオープンについて次のように語ります。

「真野英子先生は若かりし頃、お母様とふと通りかかった呉服店で弊社の丸帯『国宝・日暮文蒔絵錦』をご覧になり、いつかこの帯を打掛にしたいと思われたとお聞きした事があります。その打掛を手掛けられてからも数々の作品を世に出されました。私は最後の作品『ヴィテブスクの華』制作時に先生から多大なご指導を頂き、それは今も作品制作時に思い出され、一つの指針となっています。打掛、振袖という和装の域を超えた”アート作品の傑作”をぜひ間近でご覧ください。」

「美と着物」というテーマで結びついた、独創的なアイディアと技法が、織物を通じて語りかけてくる、そんな空間が広がっている「真野英子kimonoギャラリー」。日本の美容界の発展に貢献した真野英子氏と、日本の織物文化発展に寄与した龍村平藏、両者が思い描いた世界観を存分にお楽しみ下さい。