昨今、どこか懐かしくほっこりする、そんな和風雑貨やインテリアが人気を集めています。
中でも、和モダンなテイストのバッグや装飾品に惹かれるという人も多いのではないでしょうか。
繊細な色使いと趣ある柄が魅力の帯地から作られたバッグは、どんな装いにも合わせやすいという特徴があります。
和風小物を取り扱うお店では、さまざまな種類の帯柄バッグを見ることができますね。
また、自宅にある帯をリメイクして、自分好みのバッグを作るのもおすすめ。
和の雰囲気を生かしながら、オシャレな装いができたら素敵ですよね。そこで今回は、帯地リメイクトートバッグの作り方やおすすめの和モダンバッグを紹介します。
バッグにリメイクしやすい帯の種類
初めに、バッグにリメイクしやすい帯の種類を紹介します。帯の種類には、
- 袋帯
- 名古屋帯
- その他の帯(丸帯や半幅帯など)
があります。どの帯がバッグにリメイクしやすいのかみていきましょう。
帯の種類1 ~袋帯~
袋帯は、柄がある表地と無地の裏地が袋状に織って作製された帯や表地と裏地を縫い合わせて作られた帯のこと。
主に、留め袖や訪問着、振り袖などの着物に合わせるフォーマル用の帯として用いられます。
幅が約31cm、長さが約430~450cmと長いことから、二重太鼓やふくら雀、文庫結びなどの結び方がされます。
帯の中に芯が入っているため、綺麗で安定した結び方ができるのです。
袋帯は、表地と裏地があり帯芯が入ったしっかりとした作りなので、バッグにリメイクしやすい生地だといえるでしょう。
帯の種類2 ~名古屋帯~
名古屋帯は一重のお太鼓を結んだり、紬や小紋などの着物に合わせてカジュアルな普段着使いしたりしやすい帯です。
名古屋帯のサイズは、幅が30cm、長さが約360cmで、袋帯よりも少し短めの帯となっています。
きらびやかな柄が施されている名古屋帯だと、袋帯と見分けにくくなりがちですが、長さが違いますので、比べてみると分かりやすいでしょう。
名古屋帯も袋帯同様、帯芯が入っているので、しっかりとした作りになっており、帯地リメイクバッグにおすすめの生地だといえそうですね。
帯の種類3 ~その他の帯~
この他、丸帯や半幅帯などがあります。
帯の種類 | 用途 | サイズ |
丸帯 | 婚礼や舞妓さんの衣装として使用されている帯 |
幅:約34cm 長さ:400~450cm |
半幅帯 | 羽織など上着を着用して、背中の帯が見えなくなるときに結ばれる帯 | 幅:約16cm 長さ:約380cm |
単帯 | 裏地や芯がない帯のこと | 幅:約30cm 長さ:約450cm |
丸帯は、婚礼や舞妓さんの衣装として用いられることが多いため、なかなか手に入れることが難しい帯です。
半幅帯は、幅が狭いので、小ぶりなバッグ作りや、大きめバッグのポケット部分などに使いやすいでしょう。
単帯は軽く柔らかい生地なので、そのままの状態でバッグにリメイクすると、ヨレヨレになってしまう可能性もあります。
そのため、裏地や芯を付けて、生地をしっかりさせれば、安定感のあるトートバッグやハンドバッグなどにリメイクしやすくなるはずです。
また、帯の柄の入り方によって3つの種類に分けられます。
柄の入り方の種類 | 説明 |
お太鼓柄 |
太鼓部分に柄が入っている帯 |
全通柄 |
総柄帯。帯全体に柄が入っている |
六通柄 | 帯の6割に柄が入っている帯。または、手先と前帯~タレ先までの6尺分に柄が入っている帯 |
袋帯や名古屋帯のように袋状になっていて、帯芯が入っている帯をリメイクすれば、比較的簡単にバッグを作れます。
また、全体に柄のあるバッグを作りたい場合は、六通柄のデザインのある部分や全通柄の帯を使用すると良いでしょう。
バッグ全体ではなく、ひとつのデザインをポイントとして持ってきたい場合は、お太鼓柄の帯がおすすめです。
初めに作りたいトートバッグの大きさを決める
自分好みの帯地リメイクバッグを作ると決めても、どんなバッグがいいのか悩んでしまう人もいるかもしれません。
帯をリメイクしてバッグを作るのが初めてだったり、普段裁縫する機会が少なかったりする場合は、帯の幅を最大限に活用し、バッグ作りの行程が少ない簡単トートバッグがおすすめです。
トートバッグを作る前に、どのくらいの大きさのトートバッグを作るか、持ち手はどうするのかなど考えておくと、スムーズに作ることができますよ。
縦型のトートバッグにするか横型のトートバッグにするか
初めに、縦型のトートバッグにするか横型のトートバッグにするか決めます。
作ったトートバッグで、どこに行くのか、そのとき何を入れるかで考えると、決めやすいでしょう。
例えば、「仕事でパソコンや資料、ファイルなどを入れたい」なら縦型のトートバッグが良いかもしれません。
また、「子どもと公園に行くのに、着替えとお弁当、水筒にタオルも持って行きたい」であれば、「容量たっぷりの横型トートバッグにしよう」となりますよね。
このように、ご自分の使用目的に合わせて決めると、作った後もずっと大切に使い続けられるはずです。
型が決まったら縦と横の長さを決める
縦型のトートバッグか横型のトートバッグにするかが決めたら、縦と横の長さを決めます。
今回は、簡単に作れるトートバッグですので、縦型のトートバッグの場合は横の長さを、横型のトートバッグは縦の長さを帯幅にすると分かりやすいでしょう。
縦の長さ | 横の長さ | |
縦型のトートバッグ | 40cm(完成サイズ)+2cm(縫い代分) | 帯幅の長さ |
横型のトートバッグ | 帯幅の長さ | 40cm(完成サイズ)+2cm(縫い代分) |
マチの長さを決める
次にマチの長さを決めます。
マチの長さは、帯を半分に折った幅にすると分かりやすくておすすめ。
マチの1辺(長い方) | マチの1辺(短い方) | |
縦型のトートバッグ | 42cm×2+帯幅+5cm(ゆとり分) | 帯幅の半分の長さ |
横型のトートバッグ | 帯幅×2+42cm+5cm(ゆとり分) | 帯幅の半分の長さ |
縦型のトートバッグの場合、マチは縦型トートバッグの縦2辺と横(底部分)1辺と縫い合わせることになります。
そのため、縦(完成サイズ40cm+縫い代分2cm)×2辺+帯幅+ゆとり分の5cmというような計算をしました。
横型のトートバッグの場合も同様に行います。
持ち手の長さを決める
続いて、持ち手の長さを決めます。
持ち手も帯生地を使って作っても良いですし、お店で売られている持ち手も利用しても雰囲気が変わって良いでしょう。
一般的なトートバッグの持ち手を調べてみると、幅は約2~3cmで、長さは約45cm~60cmが多いようです。
そのため、帯地で持ち手を作る場合は、
幅 | 長さ | |
トートバッグを肩にかける |
約3cm幅の持ち手にしたい場合は4倍の12cm |
60cm+10cm(縫い代分) |
トートバッグを肩にかけない | 約2.5cm幅の持ち手にする場合は4倍の10cm | 45cm+10cm(縫い代分) |
とし、2枚用意します。帯の間に入っていた帯芯も使用するのでとっておいてください。
バッグ作りに必要な道具
バッグ作りに必要な道具を一覧にまとめましたので、参考にしてください。
帯 |
リバーシブルの帯だと裏地を付けなくても良いので作りやすい |
断裁ばさみ |
ロータリーカッターとカッティングマットがあると便利 |
メジャー・定規 |
ロータリーカッターで生地をカットする際、カッティング定規やパッチワーク定規などがあると便利 |
仮止めクリップ |
まち針では、厚い生地の帯はとめにくいため |
ミシン |
デニム生地やキルティング生地のような厚い生地向けの 針14号~16号・糸30~60番がおすすめ |
持ち手 |
市販の持ち手を使用する場合 |
接着芯 |
帯芯を使用しない場合 |
リメイク帯バッグの簡単な作り方
それでは、リメイク帯の作り方をみていきましょう。今回は、持ち手も帯地で作る方法で説明していきます。
作り方①帯を断裁する
先ほど決めたバッグのサイズに合わせて、帯を断裁していきます。
このとき、バッグ本体はタレ先やお太鼓部分から、バッグのマチと持ち手は、帯の手先からとります。好みの柄のところを選んで、断裁しましょう。
作り方②持ち手を2本作る
持ち手を作ります。
- 持ち手用の生地を断裁した際に用意した帯芯を幅3cm、長さ66cmで断裁し、2本用意してください。(肩にかけない場合は幅2.5cm、長さ51cm)
- 持ち手用に用意した生地を縦長に半分に折り、アイロンをかけます。
- ②の生地を広げ、真ん中に着いているアイロン線に向かって両端半分ずつ中折りにして、アイロンで折り目を付けます。
- 生地の真ん中の線に合うように①の帯芯を置き、短い方の辺を1cm幅で2回中折りをして、まち針やクリップでとめます。(2カ所)
- 帯芯をくるむように長い方の辺も中折りにして、まち針やクリップでとめます。
- ⑤ができたら、4辺全てを0.5cmのところでステッチ縫いします。
- これで持ち手の完成です。
作り方③持ち手をバッグ本体部部に縫い付ける
持ち手をバッグ本体の裏地に縫い付けます。
- 縦型のトートバッグ用のバッグ本体の生地は口になる部分が断裁されたままの状態になっています。断裁したところから1cmのところで中折にして縫っておきましょう。
- 縦型のトートバッグの場合は真ん中から5cmのところ、横長のトートバッグの場合は真ん中から7cmのところに持ち手がくるようにセットします。持ち手の縫い代は、5cmずつです。
- 持ち手をしっかりと縫い付けます。
作り方④バッグ本体を縫う
バッグ本体と、待ちの部分を縫っていきます。
- マチ用に断裁された生地が切りっぱなしの状態になっているので、切りっぱなしになっている端を処理をします。縫い代はそれぞれ1cmです。中折りにして縫ってください。
- バッグ本体の手すりが付いていない3辺とマチを縫い合わせます。
- 初めに外表に合わせ、片方の辺とマチを合わせて端から1cmのところで縫っていきます。角から1cmのところまで縫ったらいったん止めます。
- ③まで縫ったら、次は角を縫います。角の部分は少し縫いにくいですが、マチの生地をのばしながら、仮止めクリップでとめ、縫っていくと比較的スムーズにできるでしょう。
- 続けて、バッグの底辺、反対側の側面も縫っていきます。
- もう1枚のバッグ本体もマチに縫い付けます。
作り方⑤完成
最後に、マチの側面と底辺に当たる部分も端から1cmのところで縫いましょう。このようにすることで、全ての辺が縫えたことになり、トートバッグに安定感が出てしっかりとした作りに仕上がります。
和モダンボックストートやバッグのご紹介
出典:龍村美術織物
お気に入りの帯をリメイクして作ったトートバッグですから、サイズも雰囲気も自分好みで何かと重宝しますよね。
そして使い勝手が良く、個性的で趣のある和風バッグを1つ手に入れると、他にも使いやすくてセンスの良いバッグが欲しくなってくるのではないでしょうか。
手作りの帯地リメイクトートバッグは、仕事や買い物、お子さんとの散歩など、比較的カジュアルなシーンに合わせやすいバッグでした。
帯地バッグには、カジュアルなシーンだけでなく、お呼ばれやパーティなどでも使えるものもたくさんあります。
そこで、普段使いからパーティのような少し厳かで華やか場にも合う和モダンボックストートを紹介します。
ボックストートは、マチ付きで大容量。口もしっかり開き、出し入れも簡単で使いやすいバッグです。
鳳凰と桐花の模様が格調高い壬生寺裂(小赤)のボックストート
ボストントートの柄である壬生寺裂(小赤)(みぶでらぎれ)は、壬生狂言の衣装がモチーフとなって作られています。壬生狂言は、京都にある壬生寺に伝わる狂言のこと。
壬生寺裂は、狂言衣装の模様である向かい合わせの鳳凰と周囲の桐花、縦に向かい合う波状の線の模様が織られています。
この壬生寺裂で作られたボックストートは格調高く、とても色鮮やか。パンツスタイルなどにも合わせやすいバッグです。
花文暈繝錦のトートは洋装に合わせてもおしゃれ
花文暈繝錦(かちょうもんうんげんにしき)のトートは、紫と赤の縦縞に緑色の四弁花と、白い縦縞に赤と紫の六弁花が施された愛らしいデザインのバッグです。
花文暈繝錦は、正倉院に伝えられている暈繝錦のこと。暈繝とは、立体感や装飾的効果を持たせる色彩法のことだそうです。
例えば、花文暈繝錦の縦縞のひとつ、赤色を見たときに実は赤一色ではなく、紫や薄いベージュなどで色の濃淡を表していることが分かります。
そして赤の縦縞の横には、赤と対比するような白の縦縞を置くことで、奥行を出し色や柄の美しさが引き立つようにしているのです。
さまざまな色が使われている花文暈繝錦のボックストートですから、スタイリッシュな洋装スタイルにも合うでしょう。
また、かわいらしい洋装スタイルにすれば、四弁花と六弁花ともマッチしてオシャレな雰囲気となるでしょう。
優美さ漂う唐花雙鳥長斑錦のマチ付きトート
唐花雙鳥長斑錦(からはなそうちょうちょうはんきん)のマチ付きトートは、赤や紺、白、茶などの長斑が目を惹くバッグです。
長斑とは、二色以上の複数の色から成る縦縞模様のこと。
金や銀の糸をあしらた優美な経錦です。
また、長斑に施されている唐花や蔦、葉、果実など伝統の模様が上品でオシャレ。
着物やスーツを着ると気持ちがシャキッとするように、この高雅な唐花雙鳥長斑錦のマチ付きトートを持つと気持ちが引き締まるという人もいることでしょう。
ビジネスでのプレゼンや役員会、お稽古の発表会など、背筋をシャンと伸ばして格好良く見せたいときなどにも活用してくれるはずですよ。
まとめ:帯でリメイクバッグを作って和モダンアイテムを手に入れよう
帯リメイクで和モダンバッグの作り方を紹介しました。
持っている帯を使うことで、オリジナルのバッグを作ることができます。今回は、簡単に作れる和モダンバッグということで、トートバッグの作り方を詳しくお伝えしました。
そして、使用する帯の種類や柄を変えれば、ハンドバッグやクラッチバッグなど、さまざまな和モダンバッグを作れます。
また、既製の中から自分好みの帯柄バッグを見つけるというのも、和モダンアイテムを手に入れる方法のひとつ。
ぜひ、たくさんある和モダンバッグの中から、お気に入りの帯柄和モダンバッグを見つけてくださいね。