明治27年の創業以来、120年余り連綿と受け継がれる「龍村の帯」づくり。この龍村美術織物の物づくりの原点ともいえる「帯」が、毎年春と秋に帯展「斐成會(あやなすかい)」にて発表されています。本記事では、2023年秋の開催で77回を数えるこの「斐成會」について、そして「龍村の帯」についてご紹介します。
龍村美術織物が主催するオープンな展示会
「斐成會」は龍村美術織物が毎年春と秋に開く帯展です。展示会名は初代龍村平藏が命名したものであり、晋代の文学者である左思(さし)の漢詩「貝錦斐成、濯色江波」(貝殻の文様のように美しい錦、色鮮やかな糸を集めて織りなした錦のようにあやがあって美しいさま)から引用しています。
「斐成會」の大きな特徴として、一般のお客様から、呉服店(小売店事業者)様や、問屋(卸売業者)様など、誰でも気軽に立ち寄れる点にあります。予約などを必要とせず、入場無料の為、敷居の高くない展示会として毎回たくさんの方に訪れて頂いています。近年は日本の芸術に興味を持たれた海外からのお客様も多く来訪し、日本固有の文化を楽しむ場としても利用されています。
オリジナルブランド「たつむら製」帯の発表の場
龍村美術織物が作る帯には、大きく分けて「龍村平藏製(龍村錦帯)」と「たつむら製」という2つのブランドが存在します。「龍村平藏製(龍村錦帯)」は初代龍村平藏以来、龍村平藏と高島屋様が制作してきた高島屋オリジナル帯であり、高島屋様が主催する上品会(じょうぼんかい:染織五芸の向上を目指し、絹の芸術を極める名匠・名家の上作を披露する会)にて発表されています。
これに対し「たつむら製」は、龍村美術織物デザイン部によりつくられたオリジナルブランドで、多種多様な帯が制作されて、全国の百貨店様、問屋様、専門店様などに流通しています。この発表の場として「斐成會」は開催されます。鮮やかな色合い、ボリューム感あふれる織の技法、和と洋が見事に調和された文様など、独創性に富んだ各種の表現は「龍村調」ともいわれ、着物好きな皆様に長年愛され続けています。
https://www.tatsumura.co.jp/products/obi/
「帯」だけではない「斐成會」の楽しみ方
1985年(昭和60年)に第1回が行われて以来、2023年秋の開催で77回目となる「斐成會」。毎回、会場では様々な帯が公開され、過去の名作や、貴重な美術展示など逸品に触れる機会も設けられています。
加えて今回、第77回「斐成會」では、ハロウィン向けの新柄「吉祥かくれんぼ」、来年の干支「辰」の新柄「瑞龍楚繍文(ずいりゅうそしゅうもん)」「更紗雲龍文(さらさうんりゅうもん)」といった、新しい生地とそれぞれのアイテムも発表されます。普段は龍村の帯や製品を見ることができないお客様にも、実際に手に取って頂く場をご用意しておりますので、「美術織物」の魅力を具体的に体感して頂けます。ぜひこの機会に会場へ足をお運び下さい。
【日時】2023年8月31日(木)、9月1日(金) 10時~17時
【会場】京都産業会館ホール 北室
京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町78
京都経済センター 2階
※ご予約不要、入場無料となっております。
【会場へのアクセス】
● 市営地下鉄烏丸線「四条駅」下車 北改札口より、徒歩2分
● 阪急京都線「烏丸駅」下車 西改札口より、徒歩2分
(地下鉄・阪急/地下道 26 出口 京都経済センターB1階入口直結)