news お知らせ
当社関連イベントやニュース・トピックなど、龍村美術織物に関する最新情報。

2023.12.06福を招く干支のデザイン ―「辰」の文様に込められた願い

龍村美術織物では毎年秋に、翌年の干支の新柄の生地を製作、発表しています。縁起の良い贈り物として喜ばれる干支の木目込み人形やマスコット人形、おしゃれで可愛いデザインの小物や雑貨といった形で、皆様のお手元にお届けしています。

干支「辰」木目込み人形

干支をモチーフにした柄や商品は、古くから無病息災や厄除祈念などの縁起物として親しまれてきました。その年の干支を飾ることで「家内安全・商売繁盛」、人に授けることで「招福祈願・安寧長寿」という意味を持つとも言われています。今回の特集記事では、2024年の干支である「辰」の新柄の、文様に込められた願いをご紹介します。

2024年の干支は「辰」

干支に用いられる十二支の歴史は古く、紀元前の中国から暦や方角を示すために使用していた、12種類の漢字に由来しているとされています。「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の漢字にそれぞれ動物を当てはめたものを、現在、私達は十二支と呼んでいます。2024年の干支は「辰」ですが、十二支の内この「辰=龍」だけが架空の存在です。その理由については諸説あり、はっきりとした事はわかっていませんが、龍は古来より中国で権力の象徴とされ、縁起の良い生き物とされてきました。「龍が現れるとおめでたい事が起こる」「様々な願いを叶え物事を導く」とも伝わっているようです。

干支「辰」古帛紗

干支「辰」の新柄

龍村美術織物では、2024年を迎えるに当たり、幸福をもたらす象徴である干支「辰」の新柄を2種類製作しました。

・「瑞龍楚繍文(ずいりゅうそしゅうもん)」

古代中国の「楚」の国で作られたと考えられる、龍の刺繍をモチーフに製作された柄です。高い技術と完成度を誇る当時の染織品には、刺繍の文様に特徴があり、龍や花の枝、蔓草が図案化されて、幾何学的なデザインとして描かれています。中国で最も尊ばれる意匠のひとつであり、宮廷の興隆や婚姻の円満などを象徴する吉祥柄である、龍がより引き立つようにアレンジして織り上げました。

・「更紗雲龍文(さらさうんりゅうもん)」

一方こちらの柄は、江戸時代に日本で作られるようになった生地である和更紗がモチーフになっています。描かれている龍は力強く神秘的な印象を与えつつも、円満に通じる丸の形にデザインされることで愛らしさも表しています。また、龍は天に昇り恵の雨を降らせる存在で、その雨を降らせる雲もまた吉祥の印として古くから尊ばれてきました。このことを踏まえ、幸福を運ぶ瑞雲を龍と共に織り上げた文様となっています。

新年に向けた「招福」のシンボルとして

干支「辰」マスコット人形

縁起の良い、吉祥の文様に溢れる干支「辰」の新柄。手にされた方々の、今年1年の厄を払い、福をもたらす願いが、そこには込められています。また、2024年の辰年は「龍の如く猛々しく、新しいことに挑戦する年にしたい」と考えている方々を後押しする、そんな想いにも最適の柄となっています。皆様のますますの繁栄を祈ると共に、新柄をお手元に、新年を幸せに溢れる気持ちで迎えて頂ければ幸いです。